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お役立ち情報 vol.34.1


口腔ケアや健康についての情報を提供してまいります。

お役立ち情報

発音・発声のお話

コミュニケーションをはかる上で大切な「言葉」。「言葉」を発する時、口はもちろんのこと歯や舌も
使っています。
今回は発音・発声のことを考えてみましょう。

1.発音・発声とは?
「音」とは
  物の振動によって生じた音波を聴覚器官が感じとったもの。
「声」とは
  ヒトや動物が発声器官を使って出す音。
発音
  ヒトや動物が能動的(自分から他へはたらきかけるさま)に音を出すこと。
発声
  肺から送られてきた呼気が、声帯の間を通過する時に声帯を振動させ音声を生じさせること。
2.発音・発声時に使用する器官は? 

発声器官、構音こうおん器官を使用して発音・発声が行われます。


発声・発語器官の説明と口腔内~肺までの図

(図表左側)発声・発語器官
 発声器官
   肺 / 喉頭 / 声帯
   呼気流から声の音源を作る器官。
   肺における呼気と喉頭における声帯振動を制御することによって声の高さや大きさ、声質を調整し、有声音    と無声音の区別を作ります。
 構音器官 ※1
   下顎 / 舌・唇 / 軟口蓋 / 歯
   声道(声帯から唇までの声の通る管)を取り巻く器官。
   これらの器官が相互に影響しながら声道の形を変えることによって母音の区別や子音の種類が決定されます

(図表右側)口腔内~肺までの図
 口蓋/咽頭/喉頭/肺
※1 構音…咽頭・口腔・鼻腔などの形を変えて発音し、言葉を作ること。
※2 有声音…肺からの呼気による声帯の周期的な振動(声)を伴う音。
母音は通常の場合、有声音。
子音 b、d、g(破裂音)、v、z(摩擦音)、m、n(鼻音)、I、r(流音)は有声音。
※3 無声音…肺からの呼気が咽頭を通る時に咽頭上部にある声帯を振動させず、そのまま通り抜けて出る音。
子音のうちp、t、k、f、sなどの破裂音、摩擦音は無声音。
3.発音・発声はどのように行われる?

咽頭・声帯・下顎・舌・唇・軟口蓋・歯などの動きが組み合わさって音になります。

音 / 関連すること
母音 / 口の開き方に関連している
       大きく開く  a
       半開き    e、o
       小さく開く  i、u
子音 / 歯、舌、口蓋などが関連する
       口唇     m、p、v など
       切歯(前歯) f、d など
       舌      n、t、r、d、s、z など
       口蓋     j、x、g、k など
4.歯が無いと発音・発声しづらい音は?

前歯が抜けてしまうと空気がもれてしまうので、発音がしにくいです。特にサ行、英語の f [ f ]
th [ θ ]の音は歯が無いと正しい発音ができません。

5.発音・発声に異常が生じることは?
発声障害
 ウイルス感染、喉頭がん、下咽頭がん、甲状腺がん、肺がん、食道がんなどにより、声を生み出す声帯の異常によって、声が出しづらくなったり声の質が悪くなる状態です。
 声帯のけいれん、ポリープや結節などができて声帯の形が変化した場合にも起こります。
構音障害
 咽頭や口腔の構造に異常があると声が作りづらくなります。
 口蓋裂、脳梗塞、神経疾患、舌がんなどでも起こります。

その他、歯の欠損や治療状況、歯列不正、歯科疾患などにより、発音・発声に影響が出ることがあります。
上顎骨が欠損している場合に義歯を作る時は、発音・発声の機能の回復も考慮されます。

◎正しく発音、発声しましょう
 発音・発声に関与する器官がたくさんあることが、お解りいただけましたでしょうか?
 口の開き方、唇の形、舌の位置や動きなどで、発音・発声が変わってきます。
 多くの人の前で話をする時など、正しい発音・発声を意識してみると良いですね。

中垣晴男ら 著:[改訂5版] 臨床家のための口腔衛生学、
永末書店、2012年

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